仙台写真月間 2022

7人の作家のそれぞれの写真展を約1ヶ月にわたって同時的連続的に開催します。
黑田菜月/阿部明子/松山隼/高橋親夫/城田清弘/坂本政十賜/稙田優子

映像作品上映会 + アーティストトーク

仙台写真月間2022の関連プログラムとして、映像作品上映会と、ゲストと参加作家が写真について対話をするトークイベントを開催します。
各回定員20名、予約不要。開始時間前までにSARP space Aにお集まりください。

・本プログラムの内容は記録を行い、後日アーカイブサイトに公開する予定です。
・新型コロナウィルスの感染拡大の状況によっては開催を中止する場合があります。

トークイベント詳細はこちら

仙台写真月間アーカイブ

今回で20回目を迎える仙台写真月間のこれまでの展示情報をまとめました。

仙台写真月間アーカイブサイト

8/30tue-9/4sun
黑田菜月「動物園で見つめる先に、」

私が動物園という場所に関心を寄せるのは、「生き物が展示されている」という事実に依るところが大きい。
動物園では「種の保存」、「教育・環境教育」、「調査・研究」、「レクリエーション」という4つの役割を目指しており、生き物たちに対峙し続ける現代の動物園は、園内展示を通してその存在意義を示そうとしているようにみえる。
今回の展示では、園内に残る過去の動物園の痕跡や、現代の動物園の展示空間を撮影した写真、そして来園者へのインタビュー映像を上映しながら、動物園の中の「見る」ことについて考えてみたい。

黑田菜月 Kuroda Natsuki
1988神奈川県生まれ
2011中央大学卒業
2013第8回写真「1_WALL」にてグランプリを受賞
2016年からは横浜市立金沢動物園にて毎年行われているメディアアート展「ひかるどうぶつえん」に参加。2019年には同園にて写真と映像のグループ展「どうぶつえんの目」横浜市立金沢動物園(神奈川)を企画した。
おもな個展
2014「けはいをひめてる」 ガーディアン・ガーデン、東京
2017「わたしの腕を掴む人」 ニコンサロン、東京、大阪
2018「友だちの写真」 ギャラリーOGU MAG、東京
2021「約束の凝集 vol.3 写真が始まる」 gallery αM、東京

8/30tue-9/4sun
阿部 明子「土地をぬう道、ヤトがくる」

私の住まいが建っている崖下にある家はカクエムという。
カクエムは屋号で、角右衛門さんという人が住んでいたのでカクエムという。
オオヤという名前でもあった。
オオヤとは、大家のことで、この辺一体の地主であったということだ。
そのオオヤの末裔がいなくなり、住んでいた家が壊され、整地された。
家の傍らにあった大きな泰山木もニッキも切られて、隠れていた大きな屋敷神だけが残る。

いつか整地された土地に、プルトニウムが降り積もっても
それがあったのだと、だれが説得できるか
私たちがあったのだと、誰を説得しようか
重なった土をぬって、ヤトがやってくる

阿部 明子 Abe Akiko
宮城県小牛田町生まれ、神奈川県三浦市在住
東北芸術工科大学 デザイン工学部情報デザイン学科 映像コース(現映像学科)卒業
おもな個展
2013「空は青くてもう夕方のようだ」 SARP
2014「染みだす閾」 SARP
2015「不在の痕」 SARP
2016「編ミ景」アートギャラリー杜、仙台
2017「温室の庭」SARP
2018「てさぐりのかたち」 SARP
2021「崖に立つ、ヤトをまつ」 SARP
おもなグループ展
2017「レウムノビレ」『事象』(湊雅博企画) MUSEE F、東京
2019阿部明子・是恒さくら展『閾 -いき- を編む』 杉村惇美術館、塩竈
2021せんだいメディアテーク開館20周年展『ナラティブの修復』 せんだいメディアテーク

9/6tue-11sun
松山隼「Meadow after waves」

私がかつて住んでいた場所の巨大な復興工事。植物を育てる屈強な男。恋人が残していったぬいぐるみ。死んだ者、遺された者。フィリピン、カナダ、日本を移動する者。1600ヘクタールの中間貯蔵施設。ほとんど山となった炭鉱のズリ山。

私たちの身近にある「DISPLACEMENT(転移)」にまつわる7つの物語 ― 大きなうねりの後に訪れるのは、きっと私たちには予測できない牧草地。

松山隼 Matsuyama Jun
1985宮城県塩竈市生まれ
2009東北芸術工科大学修士課程芸術文化専攻洋画領域修了
個展
2008「Jun Matsuyama OPEN STUDIO」 中本誠司現代美術館、仙台
2010「今日のお祈り」 INAX gallery、東京
2021「Do you need company?」 Cyg art gallery、盛岡
おもなグループ展
2015『X INTERNATIONAL WORKSHOP OF PAINTERS SYMPOSIUM OF LOCAL CULTURES』 Galeria Pod5、スターリソンチ市(ポーランド)
2015『1462 daysアートするジャーナリズム』 河北新報本社ビル、東京
2017『シェル美術賞2017』 国立新美術館、東京
2018『Environmental Bathing』 Mai Space、チェンマイ(タイ)
2019『Tohoku Calling』 佐藤美術館、東京
2021『IMPRINTS 松山隼×ハイメ・パセナ2世』 ビルドスペース、塩竈
2022『oCcurrent.』 VARGAS MUSEUM、マニラ(フィリピン)

9/6tue-11sun
高橋 親夫「ものが語る土地」

津波によって壊滅したこの地域に残されていた暮らしの断片は、失われた大部分のものの手がかりとなる小さなかけらである。
それらは見る者を立ち止まらせ、正視した眼の中に飛び込み、語りかけてくる。
それまでここに住んでいた人々の、それぞれのプライベートの閉ざされた空間のなかにあったものだ。
それまでここの地域の内面の姿を形作っていたものだ。
それらは見えている水面に浮かぶ氷山の一角のように、見えてない多くの部分に連なっている。
仕事場と住まいが一体の屋敷には、多くの生活の歴史がものとして残されていたのだ。
手作りの職人たちの技や手仕事の数々。
家族の喜びや夢、素朴でささやかな遊び心が残されている。

高橋 親夫 Chikao Takahashi
1947仙台市生まれ
19741級建築士
2011第36回JPS展入選
2015京都造形芸術大学写真コース卒業
「3がつ11にちをわすれないためにセンター」活動参加
写真集『あの日につづく時間 2011・3.11』出版
個展
2015「復興大地」ニコンプラザ仙台フォトギャラリー
2017「タイル・ルート・トタン」せんだいメディアテーク
「神々のハマドオリ」SARP
2018「マテリアル」SARP
2019「数は語る」SARP
2020「地上を移動する目・上空からの視線」SARP
2021「ここにいた時は子どもだった」 SARP
グループ展
2021『星空と路』「浪江のきた道・ゆく道」せんだいメディアテーク
2022「ここにいた時は子どもだった」『星空と路』 せんだいメディアテーク

9/13tue-18sun
城田清弘「フラットハウス」

今年の春、夜中にバリバリ、ドスンと何かが落ちる音がして飛び起きた。何者かがテラスの塩ビの波板を張った屋根を打ち破ってしまったのだ。築50年を超えた3DKの平屋の借家、おそらく建てられた当時に張られた塩ビの波板は、太陽と風雨で劣化してちょっとした風でも割れるくらいの状態になっていたところに、近所の猫が引導を渡したのだろう。大家さんともろもろ相談し、こちらで修理することに。波板と取り付け用のボルトを調達し、友人から脚立などを借りて、屋根の張り替えに着手。向かいのご主人には「うまいもんだ」と茶化されつつ、あと1枚で完成というところで、不意に後ろから「うちもやってほしいわぁ」という声がして、脚立の上から振り返ると隣家のおばさんがにっこり笑って立っていた。

城田清弘 Shirota Kiyohiro
1974兵庫県加古川市生まれ
個展
1999「共鳴する箱」 エル・パーク仙台展示ギャラリー
2000「考えない練習」 エル・パーク仙台展示ギャラリー
2002「穴が見つかる」 art space 宙
2003「贅沢な使い方」 art space 宙
2004「境界を踏む」 re:bridge edit
2005「家の方へ」 art space 宙
2006「仕掛けを考える」 art space 宙
2007「downhill」 art space 宙
2009「parallels」 art space 宙
2011「続 家の方へ」 SARP
2012「slide」「downhill」 SARP
2013「slide 2」 SARP
2014「スラローム 八木山」 TURN AROUND
2019「フラットハウス/生活」 SARP

9/20tue-25sun
坂本政十賜「Genius Loci 東北」

今回の展示は2002年に青森県平内町とその周辺を撮影した写真群と、2009年から2015年までの間に撮影した写真群で構成する。その中で、2011年夏に撮影した被災後の気仙沼と宮古の写真群を発表する意味を思案したが、自分の眼差しが、震災の前も後も変わらずそこに在るものへと向かっていることを自覚し発表する事とした。家は内にある人の暮らしと、土地や風土といった外との境界として存在する。その在り様を眺めていると、この現実世界と、その奥に蠢く普遍的な力が支配する世界との結界のようにも思えてくる。

坂本政十賜 Sakamoto Masatoshi
1965東京都東村山市生まれ
1989多摩美術大学デザイン科グラフィック専攻卒業
1996〜フリーランスフォトグラファー
おもな個展
1994「非属領的地勢観察」 ギャラリーNWハウス
1995「構築の間」 多摩美術大学上野毛校舎
1997「off ground」 ギャラリーNWハウス
1999「1998-1999/OSAKA ('99写真「人間の街 -2」NEO DOCUMENTARY)」 ガーディアン・ガーデン
2000「TOKYO SNAP」(天野太郎企画) ギャラリーライトワークス
2013「東北」 ギャラリー蒼穹舎
2014「雪・青森-東北2」 ギャラリー蒼穹舎
2022「GENIUS LOCI 東北」 Alt Medium
おもなグループ展
2009『Invisible Moment』 アップフィールドギャラリー
2011『フウケイ』 アップフィールドギャラリー
2013『リフレクション』(湊雅博企画) Place M_ M2Gallery
2019『FUKEI』 Alt Medium

9/20tue-25sun
稙田 優子「分室」

撮影中にみかけた少年は、木の幹に枝を押し当てて折る動作を繰り返していた。私は写真を撮りながら、自分のやっていることが彼と同じに思えてならなかった。

稙田 優子 Yuko Wasada
1984福島県生まれ、仙台市で育つ
個展
2013「野川テノール/派生」SARP
「野川テノール/派生」TokyoLightroom
2018「展開図を重ねる」SARP
2019「白紙上」SARP
2021「雨包、粒子」 SARP

SARP

仙台アーティストランプレイス

仙台市青葉区錦町1-12-7 門脇ビル1F(旧ギャラリー青城)
TEL 022-222-0654
駐車場 3台
11:00-19:00(日曜は17:00まで)
月曜休廊

入場無料

会場にはアルコール消毒液を用意しています。ご入場の際には手指消毒とマスクの着用をお願いします。また、入場が一度に10名を超える場合、入場をお待ちいただく場合があります。

〔お問い合わせ〕

仙台写真月間事務局

仙台市若林区六十人町28
TEL 070-4011-9094(城田)

助成 (公財)仙台市市民文化事業団